濃口醤油と薄口醤油の違い知ってますか?
先日ある人から濃口醤油が無かったから薄口買ってきたという話をされました。
ん〜〜〜。。。濃口と薄口って用途が違うんだけどな〜。
こんなことを考えながら聞いていたのですが、意外とその事実を知らない人がいるのかなぁと思ったので今日の記事はこんな内容です。
薄口醤油と濃口醤油の違いってなに?
どうやって使い分ければいいの?
このような疑問に答えます。
結論から言うと
濃口醤油は色が濃く香りが強く塩分は控えめな醤油
薄口醤油は色が薄く香りも控えめ塩分は濃い醤油
煮物、焼き魚、照り焼き、刺身などしっかりとした味付けにする料理には濃口醤油
野菜の煮物や吸い物など色を抑えて素材の持ち味を生かす料理には薄口醤油が向いてます
ちなみに、、、
筆者は現役の料理人です。
東京の某料亭で9年間修行したのち
現在カナダで日本料理を作っています。
濃口醤油と薄口醤油の基本的な違い
最初に濃口醤油と薄口醤油の基本的なことを解説します。
濃口醤油とは
濃口醤油は醤油の生産量の8割を占めています。
塩分濃度は16%で色が濃く香りが強いのが特徴。
作り方は蒸した大豆に同量の小麦を混ぜてさらに塩水を加えて発酵、熟成させます。
江戸時代に急速に拡大する江戸の町とその消費に合わせて、従来の醤油から製造工程が改良され登場したのが始まり。
それまで関西方面から輸送されてきた醤油が主流だったものに取って代わり急速に全国に広まりました。
現在では醤油といえば濃口醤油のことを指します。
ちなみに濃口醤油には丸大豆を使った丸大豆しょう油と脱脂加工大豆を使った普通のしょう油の2種類があります。
詳しいことが知りたい方は「丸大豆と脱脂加工大豆、丸大豆しょう油と普通のしょう油」で詳しく書いてるので読んでみてください。
薄口醤油とは
薄口醤油は醤油の生産量の13%ほどです。
塩分濃度は濃口醤油よりも強い18%。
その代わり色が薄く香りも控えめなのが特徴。
1660年代に兵庫県で製造が始められ薄味が好まれた関西方面で広がりました。
基本的な製法は濃口醤油と同じだけど濃口醤油より1割程度塩を多く使って発酵、熟成を抑えて醸造期間も短くしてます。
また、仕上げに甘酒や水飴を使うのも特徴。
酸化して薄い色が濃くなると薄口醤油としての価値がなくなるので賞味期限が濃口醤油よりも短く設定されています。
これは僕も知りませんでした。
薄口醤油に限らずしょう油全般は正しく保存しないと風味、味、色が悪くなります。
しょう油の保存方法についてはこちらの記事で解説しています。
濃口醤油と薄口醤油の違い
わかりやすくまとめると、
- 塩分 高い→薄口醤油 低い→濃口醤油
- 色 薄い→薄口醤油 濃い→濃口醤油
- 香り 控えめ→薄口醤油 強い→濃口醤油
このようになります。
僕が修行時代働いていた店では両方揃えて使い分けていました。
和食の料理屋ではそれが普通のはずです。
でも一般家庭ではわざわざ両方揃えるのは面倒ですよね。
オールマイティな使い方ができるのは濃口醤油なのでこっちを置いておけば十分です。
どうやって使い分けるのか
濃口醤油は基本的にはオールマイティ。
どんな料理にも使えます。
あえてどんな料理が濃口醤油に向くかと答えるならば
つけだれ、かけだれ、焼き物だれ、煮物、すき焼きなど。
特にこってりと仕上げるあら炊きや肉じゃがなどは濃口醤油で作ります。
照り焼きも濃口で作る方が美味しいです。甘辛い味に醤油の香りが合うからです。
一方で薄口醤油が合う料理は素材の持ち味を生かす料理。
吸い物、野菜の煮物、白身魚の煮物、うどんつゆなど。
塩分が強いので長く煮込んだりする料理には向きません。
また、香りが控えめなので醤油の香りを生かすような料理にも向かないです。
料理人の使い分け
僕が普段濃口と薄口をどのように使い分けているのか実際にご紹介します。
なお、僕が修行していたお店でもだいたい同じような使い分けでした。
濃口醤油を使う料理
- そばだし
- あら炊きなど甘辛くこってりと仕上げたい煮魚
- すき焼き
- 照り焼き
- 焼き魚、焼き鳥のタレ
吸い物にも使いますが、最後に醤油の香りを立たせるために数滴垂らす程度。
煮しめを作るときは最初薄口で下味をつけて一晩おいてから濃口と砂糖で煮しめます。
薄口醤油を使う料理
- 吸い物
- 野菜の煮物
- 茶碗蒸し
- うどんの出汁
吸い物のメインの味付けは塩と薄口です。
濃口は香りが強く入れすぎると鰹節の香りを飛ばして醤油っぽさが出すぎてしまいます。
野菜の煮物では多くで薄口醤油を使います。
特にタケノコのような香りを生かしたいもの、里芋のように色の淡いものは薄口の淡い色と控えめの香りで素材の持ち味を生かします。
関西のうどん出汁は薄口がメインの味付けです。
関東の色の濃い醤油の香りが強い出汁は濃口がメインで使われています。
個人的に出汁の香りや味を生かす関西風の出汁が好きなので今は薄口ベースのうどん出汁を作っています。
茶碗蒸しで薄口を使うのは卵の色を残しつつ味をつけるのに薄口が使いやすいからです。
薄口、濃口以外の醤油
醤油には濃口醤油、薄口醤油以外にもいくつか種類があって、料亭などでは全て揃えて使い分けているところもあります。
ちなみに、僕も溜まりと白は使いますが再仕込みは使ったことがありません。
生産量は少なく家庭で普段使う機会は少ないですがここで解説します。
溜まり醤油
生産量は醤油全体の約2%。
塩分濃度は濃口醤油と同じ16%。
大豆だけで作られています。
色が濃くとろみがあるのが特徴。
味はやや甘く濃厚で味噌のような香りが強いです。
中国地方や九州地方では刺身醤油として使われることもあります。
筑前煮も九州の方では溜まりで味付けしますね。
再仕込み醤油
生産量は醤油全体の約1%。
塩分濃度は濃口醤油と同じ16%。
山口県柳井市が発祥と言われています。
通常の製造過程で塩水を入れるところで加熱処理をしていない生あげ醤油(きあげ)を使います。
醸造を2回するような製造方法のため再仕込みという名前になっています。
作るのに2倍の原料と2倍の期間が必要なため価格も高く刺身やソースの代わり、煮物に仕上げに少量加えるなどの使い方をします。
白醤油
生産量は醤油全体の約1%弱。
塩分濃度は18%。
白醤油はほかの醤油と原料が異なります。
蒸した小麦を主原料に少量の大豆を炒って加えて作るのが白醤油の特徴です。
また低音で短期間発酵させるので醤油独特の赤い色になりません。
まとめ
今回は濃口醤油と薄口醤油の違いについて書きました。お分かりいただけたでしょうか。
濃口醤油→色と香りは濃いけど塩分は薄い。
薄口醤油→色と香りは薄いけど塩分は濃い。
基本的には濃口醤油があればだいたいの料理は作れます。
ですが、たまに薄口醤油でお吸い物や野菜の煮物など作ってみるのもいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。