鮎といえば夏の塩焼き。そう思う方は多いはず。
今日はそんな鮎の料理のご紹介。
カナダで鮎?と思う方もいると思いますが、それも含めてご紹介します。
懐かしい鮎の思い出
僕の田舎の新潟にはあちこちの川に観光やな場があります。
小さい頃は夏の初めに母方の祖父母の呼びかけで、親戚一同でやなに鮎を食べに行くのが恒例行事になっていました。
やな場で鮎を恐る恐る捕まえたり、川で水遊びをしたり、串打ちされて炉端でじっくりと焼き上げられる鮎をまだかまだかと見つめ続けてたのを今でも覚えています。
鮎の味わい
その経験のおかげかどうかは知りませんが、鮎は炭火でじっくりと焼くのが良いのだと子供の頃から知っていました。
炭火でていねいに香ばしく焼き上げた鮎は頭からかぶりつくのが絶対に良い。
カリカリになった頭と骨の食感とかすかに甘い身と内臓の苦味、鮎特有のコケの香りと炭の香りがひとつになって口の中で独特の味わいを作り上げます。
何より夏の鮎はウロコが薄く頭から尻尾まで何も気にしないで丸ごと食べられるのが良い。
夏の間に一度は食べたい一品です。(カナダに住んでる今では叶いませんが…)
大人になってから知った真実
ちなみに、やな場で採れる鮎というのは数が多くなく、そのほとんど出荷されてしまいます。やな場で出される鮎はどこかの養殖モノを仕入れてきたものだと知ったのは大人になって料理業界で働くようになってからです。ショックすぎる事実でした。
今回はそんな鮎の塩焼き…ではなくて、煮た鮎。それも腹に卵を抱えて落ち鮎などと呼ばれる子持ち鮎を使った紫蘇煮をご紹介します。
子持ち鮎
夏の鮎は香りが強く骨が柔らかくウロコが薄い。だから焼き物として食べるのは理にかなっています。
一方鮎は成長してくるとウロコが硬くなって香りも落ちてきます。秋になって腹に卵を抱えたものはなおさらです。
焼いて食べても良いのですが、やっぱり夏の鮎と比べるとどうしても少し物足りない…。
そこで山椒や紫蘇などと煮ることによって風味を足してしまうのです。そうすることで格段に美味しくなります。
東京での料理修行時代に煮物用で仕入れた子持ち鮎の残りを試しに焼いて食べたことがあります。
結果は歴然で、食べてもいまいち物足りない。何が違うんだろうと考えると、香りが弱いしウロコも硬い。何より鮎の子は焼いただけでは大して美味しいものではない。煮物にするのは理由があったんだと改めて気づかされた出来事です。
作り方
材料
- 子持ち鮎
- 紫蘇(梅干しに入っているもので良い)
調味料
- 濃口醤油
- たまり醤油
- 砂糖
- 酒
下準備
- 包丁で鮎の鱗をかく
- 鮎は炭火、もしくはグリルで焼き目が付くまでじっくり焼く
- 紫蘇は取り出してザクザクときざむ。あまり細かくしすぎない。
調理
- 鍋に鮎を入れすっぽり被るくらいまで水と酒を入れる。
- 中火にかけ、一度沸かしてから弱火にしてアクを取り除く。
- 濃口醤油、砂糖を下味程度に加えて落し蓋をして弱火で煮る。
- 30分程したら紫蘇を加え、濃口醤油、たまり醤油、砂糖で味を整える
- 紫蘇とともに盛り付けてすすめる。
カナダで鮎は手に入る?
結論から言うと手に入ります。
カナダでも日本の築地や大阪、福岡など各地の市場で魚を仕入れて輸入する業者が有ります。
取り扱う魚の種類も年々増えていて珍しいものが入ってくることもあります。
子持ち鮎も毎年9月から11月の初め頃までは生のものが入って来るので紫蘇煮や有馬煮などにして出しています。
カナダの食文化として魚の頭や骨を食べる習慣は無いのでカナダのお客さんに出すことはあまり無いですが、日本人の方には大変喜ばれます。
5年前に初めてカルガリーへ来たときは内陸のせいもありまともな魚がほとんどありませんでした。
それが今では日本から鮎をはじめサンマや伊勢海老、あんこうに白子など信じられないくらいたくさんの種類の魚介類が手に入るようになりました。
ここ数年の日本食ブームや何より業者さんの努力のおかげです。海外で日本食作る者としてはありがたいかぎりです。