カナダワインって飲んだことないけど美味しいのかなぁ?
あんまり日本では見かけないし情報も少ないしどんな感じなんだろう。。。
今日はこのような疑問にお答えします。
この記事の内容
カナダワインの概要について解説します。
カナダワインの4つの産地について解説します。
この記事を読めば日本でほとんど知られていないカナダワインについて大まかに知ることができます。
ちなみに、筆者は…
カナダ在住5年目の和食の料理人です。
仕事でカナダワインを毎日扱っています。
カナダワインを紹介します
おそらく、ほとんどの人がカナダがワイン生産国だということを知らないでしょう。
なにをかくそう僕もそうでした。カナダに来るまでは。
カナダのワイン作りの歴史は冷涼な気候でいかにブドウを育てるかということの試行錯誤の歴史でした。
これが身を結び始めたのが1980年代後半くらいから。
そして90年代に入るとカナダワインは一気に成長過程に入り現在はいろいろなタイプのワインが生産されています。
カナダワインは涼しい気候を反映して酸が豊富でミネラル感の強いワインが多いです。
最近では国際的に高い評価を受けるワインも増えてきましたが、まだまだ発展途上。
多くのワイナリーがより美味しいワインを作ろうと試行錯誤を繰り返しています。
個人的なカナダワインの感想は少し高いのに当たり外れが激しい。
バラエティ豊かなブドウの品種。
この二つでしょうか。
一つのワイナリーがシャルドネを作ってピノグリを作ってリースリングを作って、さらにガメイもピノ・ノワールもカベルネフランも作る。
その中でも飛び抜けて美味しいのがあったりイマイチのものがあったり。
いいんです、たまにハズレがあっても。
ヨーグルトみたいな酸っぱいだけのワインがあっても。
飲んでいてとても楽しいのがカナダワイン。
作り手も売り手も飲み手も、みんなカナダワインの発展を楽しんでいる。
細かいことは気にしないカナダ人気質がそのままワインにも出ているのが楽しいのです。
ということで、カナダに来てワインに目覚めたアラフォー和食料理人がカナダワインをみなさんにご紹介します。
カナダワインの簡単な歴史
黎明期の20世紀前半
カナダワインの歴史は1600年代までさかのぼるといわれています。
カナダ東部大西洋側に位置するノバスコシア州がその起源で、今もノバスコシア州はカナダワインの4大産地のひとつです。
カナダで近代的なワインづくりが始まったのは200年ほど前のこと。
ヨーロッパからの入植者たちが最初に始めたのはヨーロッパ品種のぶどうを育てることでした。
しかしこれは上手くいきません。
その後アメリカ大陸固有種の栽培に成功して近代的なワインづくりが始まります。
当時のワインは品質がイマイチだったこと、当時の需要が甘口、高アルコールだったことから主にシェリー酒やポートワインが中心となりました。
その後1900年代初めの禁酒令、引き続いての甘口、高アルコールの需要からカナダワインはなかなか発展しませんでした。
発展の20世紀後半
転機が訪れたのは1960年代~70年代です。
まず人々の嗜好が辛口、低アルコールにシフトしました。
そして、この頃からブドウ栽培の研究が進みました。
その結果新しい農法や色々なヨーロッパ品種のぶどうが試されるようになりアメリカ大陸固有種のブドウからヨーロッパ品種への転換が始まります。
こうしてカナダワイン発展の基礎が出来上がります。
1980年代になると
これらが契機となってカナダワインは飛躍的に発展します。
現在
ワイナリーは500以上となり増え続けています。
生産地はブリテッシュコロンビア、オンタリオ、ケベック、ノバスコシアの4大産地が中心です。
ワインツーリズムにも力を入れていて年間で300万人以上の人が訪れます。
カナダワインの概要
生産緯度
寒いイメージのあるカナダですが、ワイン産地の緯度は北緯40度~50度です。
実はちゃんとワインベルトの中に収まっているのです。
フランスのブルゴーニュの緯度が48度くらいなので大体同じですね。
それぞれの産地は色々な地形、土壌、気候を備えていて高緯度だからと言って単純に寒いというわけではありません。
ブリティッシュコロンビアのオカナガンバレーでは夏場40度近くまで気温が上がるところもあります。
カナダワインの市場
ほとんどが国内で消費される
カナダワインはそのほんとんどがカナダ国内で消費されてしまいます。
輸出もされているのですがその量は少なく、輸出先として中国、アメリカが突出して多い他は微々たる量です。
ちなみに、日本は輸出先としては5位です。
ですが数字を見ると量にして36569リッターと750mlボトル換算でわずか50本弱でしかありません。(2017年)
カナダはワイン生産国でありながら、ワイン輸入大国です。
実はカナダ国内のワインシェアはカナダワインよりも輸入ワインの方が上です。
実際カルガリーのワインショップへ行ってもカナダワインの取り揃えは少なめでフランス、アメリカ、イタリアが圧倒的に多くなっています。
まだまだ発展途上で売れ行きでは他の国が上ということです。
また、カナダワインといえばアイスワインが超有名でそれしかないと思われがちです。
でも、実際には赤、白、ロゼ、スパークリング、シェリー、ポートなどバラエティに富んでいます。
カナダワインの定義は3種類
カナダワインにもフランスのAOCやイタリアのDOCのようなワインの定義が3種類あります。
VQA
VQAはVintners Quality Allianceの略です。
一定の条件を満たしたワインがVQA認定されます。
認定されたワインはラベルを見るとVQAのマークがついてます。
フランスのAOCやイタリアのDOCなどに一番近いものです。
オンタリオ州とブリティッシュコロンビア州のワインでこの制度が採用されています。
主に州内のどこで取れたブドウでどれだけの量を使いどこで瓶詰めされたかなどを厳格に定めています。
それらの条件を満たしたワインだけがこのVQAマークをラベルにつけることが許されています。
Product of Canada
Product of Canadaはオンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州以外のVQAを制定していないところで生産されたワイン、VQAエリアで条件を満たさなかったワイン、VQA認証を選ばなかったものがこれに当たります。
さらにブドウが100%カナダ産であることが必要です。
International Blends from Imported and Domestic Content
これは2018年の3月から導入された新しい区分です。
上記以外のワインで
- カナダ国外から輸入したワインをカナダで瓶詰めしたもの
- カナダ国外から輸入したワインとカナダ産のワインをブレンドしてカナダ国内で瓶詰めしたもの
に使われます。
輸入ワインのみか、輸入ワインとカナダワインの比率など規定によってラベルの書き方が変わります。
カナダワインの4大産地
カナダワインの生産地は主に4つ。
ほとんど全てのワインがこれらの州で生産されています。
ブリティッシュコロンビア
ブリティッシュコロンビア州はカナダ西部太平洋側にあります。
バンクーバーのある州といえば分かる方も多いでしょう。
州内には生産地が9ヶあります。
かつては生産地は5つだったのですが、カナダワインの発展とともに増えてきました。
この中でもオカナガンバレーは一大産地となっていてさらに7つのエリアに分けられます。
ブリティッシュコロンビアのワインの特徴は各生産地ごとに色々な気候、土壌が分布していてバラエティー豊かなワインが作られていることです。
ワイナリーもこの30年近くで大幅に増え続けていて、生産地も拡大し続けています。
赤ワインはメルロー、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー
白はピノグリ、シャルドネ、カベルネ・ソービニヨン、リースリングなどが主に育てられています。
オンタリオ
オンタリオ州はカナダ東部にある州。
トロントやカナダの州都オタワがあって人口も多いところです。
カナダワイン最大の生産地で、さらには国際的にも高い評価を受けているワインが多く作られています。
これは周辺にアメリカのニューヨークなどの大量消費地が近いことも関係しています。
オンタリオの生産地はアメリカとカナダにまたがる五大湖の中の二つエリー湖とオンタリオ湖の周辺に集中しています。
評価が高いのはシャルドネ、リースリング、ピノ・ノワール、カベルネフランです。
他にバイダルブランやバコノワールなど珍しい種類のブドウも栽培されていてバラエティー豊かなカナダワインらしい特徴を表しています。
VQAアペラシオンとして三箇所
この他にサブアペラシオン、リージョナルアペラシオンが設定されています。
ケベック
ケベック州はオンタリオ州のとなりでモントリオールやケベックシティなどがあるところ。ワインの生産はここ20年ほどで発展してきました。
リースリングやシャルドネ、カベルネフラン、ガメイなどの品種が多いのですが…
ちょっとケベックは情報があまりありません。
ほとんどの情報がフランス語で現在苦戦中です。
今回この記事を書くにあたってあまり知らなかったケベックとノバスコシアのワインを勉強し直したのですがケベックだけは本当に苦戦中でまとまり次第加筆していきます。
ノバスコシア
ノバスコシア州はカナダ東部にあって大西洋に面しています。
ここは北米最古のワイン生産地の一つで1600年代にすでにワイン用のブドウ作りが始まっていた記録が残っています。
ノバスコシアのワインの特徴はミネラルと酸が強いことです。
多くのワイナリーが海のすぐ近くにあって大西洋の影響を受けた涼しい気候でワイン作りがおこなわれているからです。
ブドウも涼しい気候でも育つ独自の品種が多くなっています。
最近では白ワインやスパークリングワインの評価が上がってきています。
特に地元で取れるロブスターやサーモンとのペアリングを目指して州全体でワインの品質アップに取り組んでいます。
2012年からはノバスコシアのワイナリー、ソムリエなどが独自のアペラシオンのTidal Bayをスタートしています。
これはノバスコシア産のブドウ100%で作られた低アルコールワインで酸とミネラルが豊富なワインがブラインドテイスティングを経て認定されます。
ノバスコシアはまだまだ発展途上といった感じでこれからどんどん美味しいワインが登場していきそうです。
まとめ
以上カナダワインについてざっとまとめてみました。
もう一度おさらいしてみると
歴史
カナダワインが急速に発展してきたのはここ30年ほど。
冷涼な気候を反映して酸の豊富でミネラル感の強いワインが多い。
国内消費が圧倒的に多いけど徐々に輸出も増えてきている。
3種類のワイン定義がある。
- VQA
- Product of Canada
- International Blends from Imported and Domestic Content
主な生産地は4箇所
これがカナダワインの特徴です。
残念ながらハニーワインとフルーツワイン以外のワインは生産されていません。
アルバータ州で手に入るカナダワインは圧倒的にブリティッシュコロンビア産が多くて次にオンタリオが少し。
ノバスコシア産はたまに見かけますが、ケベック産はほぼ入ってきてません。
国土が広く連邦制をとっているカナダでは同じ国内産のものであってもなかなか手に入れることができないものもあるのです。
次回からは各生産地や個別のワインに焦点を当ててご紹介していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。